たまりば

漫画・アニメ・ゲーム 漫画・アニメ・ゲームその他 その他

スポンサーリンク

上記の広告は、60日以上更新がないブログに表示されています。
新たに記事を投稿することで、広告を消すことができます。  

Posted by たまりば運営事務局 at

2015年12月27日

【コンピューターゲームの20世紀 62】会話シーンの破壊力はレトロゲー屈指「忍者COPサイゾウ」

 ファミコン全盛期には様々なゲームソフトが発売された。『スーパーマリオブラザース』のように、世界中の誰もが知っている名作も数多く誕生した一方、子供たちの心をズタズタに引き裂いた駄作も非常に多い。まさに玉石混淆である。

 駄作と呼ばれる作品が、ゲームファンの間ではいわゆるクソゲーと呼ばれているのはご承知のとおり。だが、ひと口にクソゲーと言ってもその性質は様々だ。タイトル画面を見るだけで、あるいはそのBGMを耳にするだけ吐き気をもよおすタイプのゲームもあれば、わりと面白いのに、一部ちょっとアレな部分があって、その評価がひとり歩きした結果、のちにクソゲー(あるいはバカゲー)と呼ばれるようになったゲームも。

 今回紹介する『忍者COPサイゾウ』は、後者に属する作品である。その名の通り忍者が活躍するゲームで、ジャンルはアクション。Aボタンを押すとジャンプ、十字キーと組み合わせることで、ハイジャンプ、高所からの飛び降り、前方宙返り、バク転ができる。一方、Bボタンは攻撃用に割り当てられており、敵が遠くにいる場合は手裏剣を、近接戦闘時はクナイを使用することができる。また、Bボタンを押しっぱなしでパワーを溜め、離すことで忍術を使用可能と、なかなか本格的な忍者活劇なのである。忍術はステージクリアで増えていき、また、シューティングを彷彿させるステージもあるなど、なかなかの凝りようだった。

 このゲームが発売された当時、筆者はまだ少年だったこともあり、サイゾウのアクションに魅せられた。純粋に“面白いゲーム”として、クリアしたあともなお、繰り返し遊んだものだ。友人たちも同様の感想を述べていたから、当時のゲーム少年たちにはなかなか評判が良かったのだろう。

 そんな無邪気な少年時代はすぐに終わりを告げ、いつしか大人になった。ある日自室の整理をしていたら、ファミコン本体と大量のカセットが見つかったことがある。懐かしさもあって、しばらくそれらのゲームを序盤だけプレイしていたのだが、この時はじつに色んな発見があった。その中で一番衝撃を受けたのが、忍者COPサイゾウである。

 このゲームは事あるごとに会話シーンが挿入されるのだが、その内容が恐ろしいほどにぶっ飛んでいたことに、大人になって初めて気がついたのである。ゲームは、ニューウヨーク市警(原作表記に準拠)のジョン警視が、最近頻発している子供誘拐事件の解決をサイゾウに依頼するシーンから始まるのだが、年齢・国籍不詳の特殊工作員サイゾウへの依頼方法はなんと直電。たとえばゴルゴ13のように、ラジオ曲に特定のBGMをリクエストするなどの工作は一切行わない、身バレ・漏洩上等の直球勝負である。しかもサイゾウは「ハイ コガクレサイゾウデスガ」とハッキリ自分の名を名乗る。律儀なのか、それともうっかり者なのか。

 ちなみにこの電話では、サイゾウの息子が悪の組織ジャウズに誘拐されたことも告げられるのだが、何故それが分かったかといえば、現場に「ダレカタスケテ…ハンニンハ スラムチクニ イル…サスケ」という手紙が落ちていたから。たしかにニューウヨークで自分の息子にサスケと名付ける親はサイゾウくらいのものだろうが…。この情報をそのまま信じるジョン警視とサイゾウ。それでいいのか、ニューウヨーク市警。ところでパッケージの裏にはサイゾウについて、「孤独を感じたことはない。なぜなら、彼はいつも孤独の中にしかいなかったから」と書かれているのだが、ジョン警視とのフレンドリーな会話や、子供がいることを考えると、とてもそうは思えない。のっけからツッコミどころ満載なのだ。

 また、ステージ中は囚われた子供たちを助け出すことで情報を聞き出すことができるのだが、この会話がとにかく面白い。ある時、助け出した子供がひと言も喋らず、サイゾウが「よほど恐い思いをしたのだろう」と心配した直後、「…ナンチャッテ ジョウダンダヨ オジサン ワリイナ トジコメラレテ イタカラ タイクツニナッテ」と、サイゾウをおちょくる。しかもオジサン呼ばわり。他の子供との会話も終始こんな感じである。しかも助けた子供の多くが何らかの情報を持っており、お礼にそれを教えてくれるという妙な設定。ステージが進むと、サイゾウ自ら「何か情報はないのか?」と聞き出す始末である。  


  • Posted by ゆうやっ at 21:46Comments(0)オンラインゲーム